[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第90回】「リケーブル」徹底解説! 基礎知識から選び方、聴き比べまで濃密レポート
■リケーブルすると何がよくなるの?
そのリケーブルによってユーザーはどんな利点を得ることができるのだろうか?
もちろん主には「音質」面だ。一概に「良くなる」のではなく、うまく使えば「好くできる」というようなニュアンスで受け取ってほしい。リケーブルによって大なり小なり音質が変化するのはたしかだが、どのように変化するのかは製品ごとに異なるし、大切なのはその変化がユーザー(あなた)の好みに合うかどうかだ。
なのでリケーブルを行う際には、自分の好み、現在の音からどのような変化がほしいのか、そのためにはどういった製品を選べばよいのかといったことをあらかじめ把握しておくと、製品選びの効率がぐっとよくなるだろう。
またケーブルは装着感や耐久性にも大きく影響する。太さ、硬さ、長さによって取り回しが大きく変化することは当然だ。特に外出時に使うイヤホンにおいては大きなポイント。またケーブルを耳の上に回すイヤーモニタースタイルの装着方法を採用しているイヤホンとの組み合わせだと、その部分の処理もポイントになる。そこが自分の好みに合っている製品を選べば、装着感の向上も得られる。
最後にルックス。リケーブル製品の中には赤とか銀とか目立つ色のものもあるし、ケーブル表面の素材や仕上げも異なる。身に着けるものとしてそういう点にもこだわるのもアリだ。
■製品選びのポイント:音質編
ではまずは音質面から製品を絞り込む際の、その当たりをつけるためのポイントを見ていこう。
まずいちばん最初に注目してほしいのは、そのリケーブル製品の「導体の材質」だ。導体とはケーブルの中心に通っている金属線で、それがまさに音声の電気信号を流して伝えている部分。当然、音質に最も多く影響する要素だ。ここに使われる素材は、
●これが標準大多数!高純度銅
●これぞハイエンド?高純度銀
…のどちらかが大半。共に電気抵抗が少なく、電気信号をロスなくフラットに伝送することに適している。導体素材にうってつけだ。それなりのオーディオ製品であれば標準付属ケーブルもある程度以上の高純度銅である場合が大半。
どちらにも「高純度」と付けてあるが、電気信号を損失なく弱めずに伝送するには、銅と銀の純度は高い方が有利。そのためどちらであってもその純度の高さは大きなポイントになる。特に銅ではその純度をいかに高めるかに難しさがあり、それを実現した素材はケーブル用としても人気があり採用例が多い。次頁からは、ケーブルの導体素材各種についてご紹介しよう。
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